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【クレマチス】聖母マリアの木陰、旅人の喜び

クレマチス 【植物図鑑】

クレマチスは、古くから愛されているガーデンプランツの一つです。英国では「蔓性植物の女王」として知られ、バラのパートナープランツとして親しまれています。世界中に多くの野生種や原種が存在し、これらの交配により多くの品種が誕生しています。

ジョセフィーヌ

クレマチスとは

  • 学名 Clematis
  • 英名 Clematis Leather flower Vase vine Virgin’s bower
  • 和名 風車(カザグルマ)、鉄線(テッセン)
  • 科・属名 キンポウゲ科クレマチス属
  • 原産地 ヨーロッパ、日本、中国、北アメリカ

クレマチスの原種

日本には、古くから様々な種類のクレマチスが自生していました。代表的なものは、以下の2種です。

  • カザグルマ(学名:Clematis patens:日本各地に自生する蔓性多年草です。白または淡紫色の花を咲かせます。カザグルマは、平安時代から和歌に登場しています。また、江戸時代には「鉄砲蔓」と呼ばれていました。
カザグルマ

  • テッセン(学名:Clematis ternifolia:中国原産の蔓性多年草です。安土桃山時代に中国から渡来したと考えられています。当時は「唐芙蓉」と呼ばれていました。6枚の乳白色の花弁をもち、雄しべが花弁化しているのが特徴です。名前の由来は中国名の「鉄線蓮(テッセンレン)」から来ている、または茎が固くまっ直ぐ伸びるからともいわれています。
テッセン

これらの原種クレマチスは、古くから観賞用として栽培されていました1836年に、植物学者シーボルトは日本の原種カザグルマをヨーロッパに紹介しました。今日では大輪品種の開発のために最も頻繁に使用されています。

また中国の原種テッセンもシーボルトによって、中国のラヌギノーサや日本の八重咲きのカザグルマ(雪おこし)はフォーチュンによってヨーロッパに渡りそれらやヨーロッパ原産の品種との交配から現在はたくさんの園芸品種が生まれ、2000種を超える交配品種があるといわれています。

クレマチス~世界へ

世界的にも有名なクレマチスの育種家・小沢一薫(おざわかずしげ)さんは、ピンクシャンパンと呼ばれ世界中で愛される「柿生」をはじめ、「篭口」「踊場」といった名花を生み出し、挿し木による栽培方法を確立したことで、クレマチスは切り花としても注目されるようになりました。クレマチスがこれほどまでに世界に流通するようになったのは小澤一薫さんの功績によるものといわれています。

篭口(インテグリフォリア系)

クレマチスのなかには、1年に1回、スポット的に開花する一季咲きの品種もあれば、長期間にわたり花が次々と咲いたり、剪定すると繰り返し咲く四季咲きの品種があります。
四季咲きは、上を向いて大きな花を咲かせるフロリダ系や、横や下向きに多くの花を咲かせる小、中輪のヴィチセラ系、チューリップ形やベル形のテキセンシス系・ヴィオルナ系、すらっと伸びて下や横向きに咲くインテグリフォリア系などがあります。

マダム・ジュリア・コレボン(ヴィチセラ系)
プリンセスダイアナ(テキセンシス系)
白万重(テッセンの枝変わり)
ニオベ(ジャックマニー系)

クレマチスの花言葉と物語

「旅人の喜び」「美しい心」「精神の美」「策略」

ギリシャ語のクレマ(ぶどうの蔓)を語源とするクレマチス。英国ではバラを「蔓植物の王」、クレマチスは「蔓植物の女王」としています。

ヨーロッパのホテルの玄関によくクレマチスが植えられていたことから、旅人の喜び、という花言葉があり、聖母マリアが幼いキリストを連れてエジプトへ逃れた時にクレマチスの木陰で休憩を取ったという伝説があります。

クレチマスは細い蔓を伸ばし、美しい大輪の花を咲かせます。鮮やかな花を咲かせる内側に秘めた力から、「美しい心」「精神の美」という花言葉も生まれました。

フランスでは乞食草という呼び名もあるクレマチスの葉には、皮膚炎を引き起こす毒素が含まれ、かつてフランスでは貧しい人がクレマチスの葉をわざとこすりつけ皮膚をただれさせて同情をひいたといわれていることから「策略」という花言葉も存在します。

ドクターラッペル(パテンス系)

クレマチス~花後の楽しみ

花が散った後は、クレマチスの種であるクレマチスシードができます。クレマチスシードは、ゴールドやシルバーの艶のある綿毛のような質感があり、その綿毛の根元がぷっくりとした種は土に植えてから発芽まで約1年ほどかかります。

独特な外見から、クレマチスシードはアレンジメントフラワーやブーケに利用したり、ドライフラワーにしたりして楽しむこともできます。

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