深夜の森に月光が降り注ぎます。銀の矢を手にした女神が、白い鹿とともに静かに歩む姿。彼女の足元には、銀色に輝く葉を持つ薬草が風に揺れています。アルテミス——処女にして母たちの守護者、狩猟者にして野生動物の保護者、冷徹にして慈悲深い、矛盾に満ちた月の女神。
ヨモギはその名に女神の名を冠します。Artemisia——月の光を宿し、女性を守り、夢と予言をもたらす銀の草。満月の夜に摘まれたヨモギには、女神の力が宿ると言われています。
銀の弓を持つ女神アルテミス

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プロフィール
ギリシャ語表記: Ἄρτεμις (Artemis)
別名
- ポトニア・テロン(野獣の女主人)
- セレネ(月そのもの)
- ヘカテ(三相一体の女神として)
- ディアナ(ローマ名)
- キンティア(デロス島の別名キントスから)
役割・司るもの
- 月の女神(特に満月)
- 狩猟と野生動物の守護者
- 処女性と純潔の守護
- 出産と子供の保護者
- 若い娘たちの守護者
- 境界と移行の女神
- 自然の野生と未開の地
シンボルと容姿

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アルテミスは永遠の処女として、短いチュニックを着た若々しい姿で描かれます。長い髪を後ろで束ね、銀の弓と矢筒を背負い、狩猟犬や鹿を従えています。
月が昇るとき、彼女は銀の戦車に乗って天空を駆けます。月光そのものが、彼女の存在の現れです。
主なシンボル
- 銀の弓と矢
- 三日月の冠
- 鹿(特に白い鹿)
- 熊
- 狩猟犬
- 糸杉
- ヨモギとその仲間の薬草
- 松明(ヘカテとしての側面)
神々の系譜
父: ゼウス(全能の神) 母: レト(ティターン族の女神) 双子の兄: アポロン(太陽神、音楽と予言の神) 生誕地: デロス島(またはオルテュギア島)
太陽と月の双子
アルテミスとアポロンは、完璧な対称性を持つ双子です。
アポロン: 太陽、光、理性、秩序、文明、音楽、予言 アルテミス: 月、夜、本能、野生、自然、狩猟、神秘
しかし両者は対立するのではなく、補完し合います。太陽が沈むとき月が昇り、月が沈むとき太陽が昇る——二人は永遠に追いかけ合い、永遠に離れています。
両者とも弓の名手であり、その矢は必ず標的を射抜きます。アポロンの矢は突然の平和な死を(特に男性に)、アルテミスの矢は安らかな死を(特に女性と子供に)もたらすとされました。
アルテミスの誕生——助産師としての処女神

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嫉妬の女神ヘラと放浪する母
物語は、天空の王ゼウスの数多い浮気の一つから始まります。美しいティターン族の女神レトが、ゼウスの子を身ごもったのです。
ゼウスの正妻ヘラは、夫の不貞に激怒しました。しかし彼女が向けた怒りは、夫ではなく、身重の女神レトに対してでした。ヘラは恐ろしい呪いをかけました——「太陽が照らすいかなる土地でも、出産を許さない」と。
臨月を迎えたレトは、必死に出産の場所を探しました。しかしどの土地も、ヘラの怒りを恐れて彼女を受け入れませんでした。島々は逃げ去り、山々は門を閉ざし、森は彼女を追い払いました。
妊婦は放浪し続けました。陣痛が始まっても、立ち止まることを許されませんでした。あまりの苦しみに、レトは叫びました。
「誰か、どうか——この子たちに生まれる場所を!」
漂流する島デロス
そのとき、声が応えました。
「私なら、あなたを受け入れましょう」
それは小さな岩だらけの島、デロス(当時はオルテュギアと呼ばれていました)でした。この島は海上を漂流していたため、「太陽が照らす土地」ではなかったのです。太陽はこの島を「照らす」のではなく、ただ「通り過ぎる」だけでした。
しかしデロスは条件を出しました。
「もし、あなたの息子が偉大な神になったら、私の上に壮麗な神殿を建ててください。そうすれば、私はもう貧しい漂流の島ではなくなります」
レトは約束しました。そしてついに、彼女は立ち止まることができました。
九日九夜の苦しみ
しかし出産は、すぐには始まりませんでした。ヘラの執念は、まだ終わっていなかったのです。
ヘラは出産の女神エイレイテュイアを、黄金の玉座に縛りつけ、オリュンポスから動けないようにしました。出産の女神がいなければ、どんな女性も無事に子を産むことはできません。
レトは九日九夜、耐え難い陣痛に苦しみました。他の女神たち——イリス、ディオネ、アンピトリテ、レアー——が彼女のそばに寄り添いましたが、誰も出産を助けることはできませんでした。
レトの悲鳴は、天にも地にも響き渡りました。
ついに女神たちは、エイレイテュイアを解放するために、ヘラに賄賂を贈ることにしました。美しい黄金の首飾り——長さ九エルの、琥珀でできた首飾りです。
ヘラは首飾りを手にし、満足げに微笑みました。そしてようやく、出産の女神を解放したのです。
最初に生まれた娘
エイレイテュイアがデロスに降り立った瞬間、出産が始まりました。
レトはヤシの木につかまり、祈りました。大地は喜びに震え、島は固定され、もう漂流することはなくなりました。
最初に生まれたのは、娘でした。小さな、しかし完璧な女の赤ん坊。しかしその赤ん坊は、普通の赤ん坊ではありませんでした。
生まれたばかりの女神は、母を見つめました。そして、母がまだ苦しんでいることを理解しました。もう一人、まだ生まれていない兄弟がいることを。
驚くべきことに、たった一日で、赤ん坊は成長しました。幼い少女の姿になった女神は、母のそばに座り、こう言いました。
「お母様、大丈夫です。私が手伝います」
こうして処女の女神アルテミスは、自らの兄アポロンを取り上げました。これが、彼女が出産の守護者となった理由です——自ら産むことなく、しかし母と子の苦しみを最もよく知る者として。
光に満ちた誕生
アポロンが生まれた瞬間、世界は光に満たされました。白鳥たちが島の周りを七回飛び回り、黄金の光が天空に広がりました。
双子の誕生により、デロスは祝福されました。不毛の岩だらけの島は、聖地となりました。約束通り、後に壮麗な神殿が建てられ、世界中から巡礼者が訪れるようになりました。
こうして太陽と月、アポロンとアルテミスは、この世に生まれたのです。二人は永遠に結びつき、永遠に離れている——昼と夜のように、光と影のように。
アクタイオンの悲劇——見てはならないものを見た者
![Louis Devedeux (French, 1820–1874) - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=31208484による](https://syokubutsu-zukan.com/wp-content/uploads/2025/12/9b8cc74b61df86df385aa9c5b5b8bb47-1024x576.png)
禁断の光景
若き狩人アクタイオンは、テーバイの王族で、狩猟の名手でした。ある日、猟犬たちと森を駆け巡っていた彼は、道に迷い、深い谷間の泉に辿り着きました。
そこには洞窟があり、泉の水が静かに湧き出ていました。これはアルテミスが最も愛する聖なる泉、ガルガフィエの泉でした。
その時、女神はニンフたちとともに、狩りの後の水浴びをしていました。
アクタイオンは立ち止まりました。茂みの間から、月の女神の裸身が見えてしまったのです。
彼は意図的に覗いたわけではありませんでした。しかし、処女神の裸を見ることは、それ自体が冒涜でした。
鹿への変身
アルテミスはアクタイオンに気づきました。怒りに燃える女神の目。彼女は水を掬い、若者に浴びせかけました。
「さあ、見たことを語るがいい——もし語れるならば!」
瞬間、アクタイオンの体が変わり始めました。頭に角が生え、首が伸び、耳が尖り、手足が細長くなり、体が毛で覆われました。人間の心を持ったまま、彼は牡鹿になったのです。
恐怖に駆られて走り出した彼を、自分の猟犬たちが追いかけ始めました。犬たちは主人の匂いを認識できず、ただ鹿を見ただけでした。
アクタイオンは叫ぼうとしましたが、鹿の声しか出ませんでした。猟犬たちは彼に追いつき、主人の訓練通りに、獲物を引き裂きました。
犬たちの嘆き
猟犬たちは獲物を仕留めた後、主人を探して森中を駆け回りました。アクタイオンを呼び続け、彼が見ていないことを悲しみました。
彼らは知らなかったのです——自分たちが引き裂いたのが、愛する主人だったことを。
この物語は、神聖なるものの前での人間の無力さを語ります。意図しなくても、見てはならないものを見れば、罰は避けられません。アルテミスは純潔を守るため、容赦しませんでした。
カリストの悲劇——失われた純潔

アルテミスの侍女
カリストは、アルカディアの王女で、アルテミスに仕える美しいニンフでした。彼女は女神とともに、永遠の処女であることを誓っていました。
しかしゼウスが彼女の美しさに目をつけました。全能の神は、アルテミスの姿に変身してカリストに近づき、彼女を欺いて契りを結びました。
数ヶ月後、カリストの体に変化が現れました。彼女は必死に隠そうとしましたが、やがて真実は明らかになります。
水浴びでの発覚

Public Domain (via Wikimedia Commons).
狩りの後、アルテミスとニンフたちは泉で水浴びをしようとしました。カリストは恐怖に駆られましたが、拒否すれば疑われます。
他のニンフたちが衣服を脱ぐ中、カリストだけが躊躇しました。やがて強制的に服を脱がされると、膨らんだ腹部があらわになりました。
「出て行け!」アルテミスは激怒しました。「純潔を破った者は、もう私の仲間ではない!」
カリストは涙ながらに訴えましたが、女神は聞き入れませんでした。誓いは破られたのです——たとえ本人の意志でなくとも。
熊への変身
追放されたカリストは、息子アルカスを産みました。しかしゼウスの妃ヘラの嫉妬は、彼女を追い続けました。
ヘラはカリストを熊に変えました。人間の心を持ったまま、獣の姿で森をさまよう運命です。
十五年後、成長した息子アルカスが狩りをしているとき、熊の姿の母親に出会いました。カリストは息子に近づこうとしましたが、アルカスは獣と認識し、槍を構えました。
その瞬間、ゼウスが介入しました。彼は母と子を天に上げ、星座に変えました。カリストは大熊座(おおぐま座)、アルカスは小熊座(こぐま座)となり、永遠に天空で共にいることができました。
しかしヘラの怒りは続きました。彼女は海神テティスに頼み、この二つの星座が海に沈んで休むことを禁じました。こうして大熊座と小熊座は、北の空で永遠に沈むことなく回り続けます。
オリオンの死——女神が愛した唯一の男
狩猟の仲間
巨人オリオンは、海神ポセイドンの息子で、偉大な狩人でした。その美しさと狩猟の腕前は、アルテミスをも魅了しました。
処女神アルテミスが、初めて男性に心を動かされた瞬間でした。二人は森で共に狩りをし、競い合い、笑い合いました。女神は初めて、孤独ではない喜びを知りました。
しかしこれは危険なことでした。アルテミスは永遠の処女であることを誓っています。恋に落ちることは、その本質に反します。
アポロンの策略
双子の兄アポロンは、妹の変化に気づきました。アルテミスがオリオンと結婚すれば、もう狩猟の女神ではいられません。
ある説では、アポロンはオリオンを嫌い、彼を亡き者にしようとしました。別の説では、アルテミスの純潔を守るために行動したとされます。
ある日、アポロンはアルテミスに言いました。「妹よ、あなたは最高の弓の使い手だと聞くが、本当か?」
「当然よ、兄さん」
「では、海の彼方に見える、あの小さな点を射ることができるか?」
海の波間に、わずかに何かが浮いているのが見えました。アルテミスは、それが何かを確認せずに、完璧な矢を放ちました。
矢は必ず標的を射抜きます——これが、アルテミスとアポロンの矢の性質です。
悲しみの真実
波が岸に運んできたのは、オリオンの遺体でした。彼は海を泳いでいたのです——そして女神自身の矢が、彼の頭を貫いていました。
アルテミスは慟哭しました。初めて愛した者を、自分の手で殺してしまったのです。
彼女はゼウスに懇願しました。オリオンを生き返らせてほしいと。しかし死者を蘇らせることは、神々にも許されていません。
代わりにゼウスは、オリオンを星座として天に上げました。今もオリオン座は、冬の夜空で最も美しい星座の一つとして輝いています。
そして大犬座のシリウスは、オリオンの猟犬として、永遠に主人に付き従っています。
アルテミスは以前にも増して、人間から距離を置くようになりました。愛することの痛みを知った女神は、より冷徹に、より孤独に、しかしより慈悲深くなりました。
ヨモギ(Artemisia)— 月光の銀葉

植物学的情報
学名: Artemisia(アルテミシア属) 主な種
- Artemisia vulgaris(ヨモギ)
- Artemisia annua(クソニンジン、抗マラリア薬の原料)
- Artemisia absinthium(ニガヨモギ、アブサン)
- Artemisia dracunculus(タラゴン)
科名: キク科 原産地: 北半球の温帯地域全域 開花時期: 夏から秋、小さな黄色または白色の花
外観の美

ヨモギは多年生の草本植物で、高さ50〜120センチメートルに成長します。最も特徴的なのは、その葉の裏側です——銀白色の細かい毛に覆われ、月光を受けると銀色に輝きます。
葉は深く切れ込み、羽状に分裂しています。表は濃い緑色ですが、裏返すと銀白色の世界が現れます——まるで月の裏側のように。
茎も銀灰色を帯び、全体として月光を思わせる神秘的な雰囲気を持ちます。
花は小さく、黄色または淡い黄緑色で、穂状に密集して咲きます。派手ではありませんが、控えめな美しさがあります——アルテミス自身のように。
葉を揉むと、強い芳香が立ち上ります。種によって香りは異なりますが、共通して独特の苦味と清涼感があります。
古代世界での呼び名

ギリシャ語: Ἀρτεμισία (Artemisia) ラテン語: Artemisia 英語: Mugwort, Wormwood, Artemisia 日本語: 蓬(よもぎ)、艾(もぐさ) 中国語: 艾(ài)、蒿(hāo)
属名Artemisiaは、直接アルテミス女神に由来します。古代から、この植物は月の女神と女性の健康に深く結びついていました。
なぜアルテミスの名を冠するのか
ヨモギ属がアルテミスの名を持つ理由は、古代からの深い結びつきにあります。
月光の色: 葉の裏の銀白色は、月光そのものを思わせます。満月の夜、ヨモギは銀色に輝きます。
女性の健康: ヨモギは古代から、月経、出産、女性特有の健康問題に用いられてきました。アルテミスが出産の守護者であることと対応します。
浄化の力: 野生と境界の女神アルテミスのように、ヨモギは浄化と保護の力を持つとされました。
野生の薬草: 栽培されるのではなく、野に自生するヨモギは、野生の女神アルテミスの本質を体現します。
狩猟者の薬草: 疲労回復、虫除け、傷の治療——狩人たちはヨモギを携えて森に入りました。
神話と結びついた特性
銀の葉と月: ヨモギの銀色の葉は、アルテミスの銀の弓、銀の矢、そして月光そのものを象徴します。
苦味: ヨモギの苦味は、アルテミスの厳格さ、妥協なき純潔の守護を表します。甘くはないが、強く、浄化する力。
保護と境界: ヨモギは玄関に吊るされ、悪霊や病気を遠ざけるとされました。これはアルテミスが境界の女神であることと対応します。
月経と出産: ヨモギは子宮の健康を促進するとされ、「女性の草」と呼ばれました。処女神でありながら出産の守護者であるアルテミスの二面性を反映します。
夢と予言: ヨモギの枕は予知夢をもたらすとされました。アルテミスはヘカテと同一視され、予言と神秘の力を持ちます。
ヨモギの薬効と伝統的使用
古代ギリシャ・ローマでの使用
女性の健康
- 月経困難の緩和
- 出産の促進(陣痛促進)
- 産後の回復
- 子宮の調子を整える
消化器系
- 消化促進
- 食欲増進
- 駆虫作用(特にニガヨモギ)
- 肝臓の保護
その他の用途
- 解熱
- 鎮痛
- 抗菌作用
- 神経の鎮静
ヨーロッパの民間伝承
魔除けと浄化: ヨモギは強力な保護の草とされました。
- 旅人はヨモギを靴に入れて歩き、疲労を防ぎました
- 玄関にヨモギを吊るし、悪霊を遠ざけました
- 夏至の夜、ヨモギの冠を作り、焚き火に投げ込んで厄除け
- 枕にヨモギを詰めて、悪夢を防ぎ、予知夢を見る
満月の収穫: 最も力のあるヨモギは、満月の夜、特に聖ヨハネの祭り(夏至頃)に摘まれたものとされました。これはアルテミスが満月の女神であることと完全に対応します。
東洋での伝統
日本や中国でも、ヨモギは重要な薬草でした。
日本
- よもぎ餅(春の味覚)
- 艾(もぐさ):お灸の材料
- 止血、浄血
- 邪気払い、厄除け
中国医学
- 艾葉(がいよう):温経止血
- お灸(艾灸):経絡を温める
- 子宮の冷えを取る
- 安胎(流産予防)
興味深いことに、東西で独立に発展した文化が、ヨモギに対してほぼ同じ用途——特に女性の健康と浄化——を見出しています。
月の満ち欠けと女性の周期
アルテミスと月のサイクル
アルテミスは三相の月の女神とも見なされました。
三日月(新月から満月へ): 若い乙女アルテミス、処女、可能性、成長
満月: 母なる女神(出産の守護者として)、完全性、力の頂点
欠けゆく月: 老賢女ヘカテ(アルテミスの暗い側面)、知恵、魔術、冥界への入口
この三相は、女性の人生の三段階——乙女、母、老婆——を象徴します。
女性の月経周期
古代ギリシャでは、女性の月経周期と月の満ち欠けが結びつけられていました。
平均28日の月経周期は、月の公転周期(約29.5日)にほぼ一致します。満月の夜に出産が多いという信仰も広く存在しました。
アルテミスは処女神でありながら、最も女性的な経験——月経と出産——を司ります。この矛盾は、女性性の神秘そのものを表しています。
ヨモギが「女性の草」として用いられたのは、この月と女性の結びつきの象徴でもありました。
月光の薬草の収穫
伝統的なハーブ療法では、薬草の収穫時期が重要でした。
満月の夜: ヨモギの力が最大になる 夜明け前: 露に濡れた葉に力が宿る 夏至前後: 年間で最も強力な時期
これらはすべて、アルテミスの力が最も強まる時間帯です。
アルテミス崇拝の聖地
エフェソスの大アルテミス
小アジアのエフェソスには、古代世界七不思議の一つ、アルテミス神殿がありました。
しかしエフェソスのアルテミスは、ギリシャ本土の狩猟女神とは異なる姿でした。多数の乳房(または卵、または蜂の巣)に覆われた胸部を持ち、豊穣と母性の女神として崇拝されました。
これは、より古い母神信仰とギリシャのアルテミスが融合した姿でした。処女神と母神の矛盾が、ここで視覚化されています。
ブラウロンの儀式
アテナイ近郊のブラウロンは、アルテミス崇拝の重要な中心地でした。
ここでは「アルクトイ(小熊たち)」と呼ばれる儀式が行われました。5歳から10歳の少女たちが、サフラン色の衣装を着て、熊の真似をしながら踊りました。
これはカリストの物語(熊に変えられたニンフ)を記念するもので、少女から女性への移行を象徴する通過儀礼でした。
儀式の後、少女たちは自分の衣服を神殿に奉納し、成長を誓いました。
スパルタの残酷な儀式
スパルタでは、アルテミス・オルティアの祭りで、少年たちが祭壇の前で鞭打たれる儀式がありました。血を流すまで打たれ、耐え抜くことで、成人の資格を得ました。
これは成人の通過儀礼であり、戦士としての勇気を試すものでした。アルテミスの厳格さと、境界(子供と大人の境界)を守る力を体現していました。
芸術に描かれたアルテミスとヨモギ

Image by Shonagon, CC0(Wikimedia Commons)
古代彫刻
アルテミスの古典的像
- 短いチュニック(キトン)を着た若々しい姿
- 弓と矢筒を背負う
- 鹿を従える、または鹿に手を置く
- 月の三日月を頭上に戴く
- 狩猟犬と共にいる
ローマのディアナ像: ローマでは、アルテミスはディアナと同一視されました。ルーヴル美術館の「狩りをするディアナ」(通称「ヴェルサイユのディアナ」)は、女神の優美さと力強さを完璧に表現しています。
ルネサンスから近代
ティツィアーノ「アクタイオンの死」(1559-75): 水浴びをするアルテミスと、鹿に変えられるアクタイオンの劇的な瞬間。
ルーベンス「ディアナとニンフたち」(1630頃): 狩りの後の休息。豊満な女神たちの姿は、古代の純潔な乙女というよりバロック的な豊穣性を表現しています。
クロード・ロラン「アポロンとアルテミス」(複数作品): 双子の神々が、夜明けと夕暮れに空を駆ける幻想的な風景画。
ウォーターハウス「アルテミスとその仲間たち」(19世紀): ラファエル前派の画家が描く、神秘的で夢幻的なアルテミス。
文学での表現
ホメロス『イリアス』: アルテミスは戦いには参加せず、トロイア側に同情を示します。しかし兄アポロンとともに、人間の運命を見守ります。
エウリピデス『ヒッポリュトス』: アルテミスを崇拝し、アフロディーテを軽蔑した若者の悲劇。最後に女神が現れ、忠実な崇拝者の死を嘆きます。
オウィディウス『変身物語』: アクタイオン、カリストなど、アルテミスにまつわる変身の物語が詳しく語られます。
現代文学: フェミニスト文学では、アルテミスは独立した女性、男性に依存しない力の象徴として再解釈されています。
現代に生きるアルテミスとヨモギ
フェミニズムとアルテミス
現代のフェミニズム運動において、アルテミスは重要なシンボルとなっています。
独立性: 男性(父や夫)に依存しない女性 選択: 自分の人生を自分で選ぶ力 姉妹愛: ニンフたちの集団、女性同士の連帯 境界: 自分の領域を守る権利(アクタイオンの物語) 矛盾の受容: 処女にして母、優しくて残酷
アロマテラピーとハーブ療法
現代のハーブ療法でも、ヨモギ(特にArtemisia vulgaris)は重要な位置を占めます。
女性の健康
- 月経不順の改善(ただし妊娠中は禁忌)
- PMS(月経前症候群)の緩和
- 更年期症状の軽減
精神的効果
- 夢の明晰化
- 直感力の強化
- サイキック能力の開発(スピリチュアルな用途)
- 瞑想の補助
エネルギー的な用途
- スマッジング(浄化の煙)
- 保護の儀式
- 満月の儀式
注意事項: ヨモギには子宮収縮作用があるため、妊娠中の使用は避けるべきです。また、キク科アレルギーの方も注意が必要です。
占星術とアルテミス
月のエネルギー: 占星術では、月は感情、直感、無意識、母性、養育を表します。アルテミスは月の女神として、これらすべての側面を体現します。
蟹座の守護神: アルテミスは蟹座(Cancer)の守護神の一人とされます。蟹座は
- 感情的、直感的
- 保護的、養育的
- 家族と安全を重視
- 月に支配される
月のサイクルと占星術
- 新月: 新しい始まり、意図の設定
- 上弦の月: 行動、成長
- 満月: 達成、実現、収穫
- 下弦の月: 手放し、浄化
これらのサイクルは、アルテミスの三相(乙女、母、老賢女)と対応します。
文化の中のアルテミス
NASA: 月探査計画「アルテミス計画」は、女神の名を冠しています。アポロ計画の「双子」として、そして女性宇宙飛行士を月に送る計画として。
都市名: 多くの都市が、アルテミスまたはディアナの名を持ちます。
植物学: Artemisia属は約400種を含み、世界中に分布します。すべてが女神の名を冠しています。
まとめ:月光と野生と銀の葉
深夜の森を歩くとき、月光が木々の間から差し込みます。その光の中で、銀色に輝く葉を見つけることがあります——ヨモギです。
アルテミスは矛盾に満ちた女神です。処女にして出産の守護者、狩人にして野生動物の保護者、冷徹にして慈悲深い。しかしこれらの矛盾こそが、女性性の豊かさを表現しています。
女性は一つの役割に収まりません。乙女であり、母であり、戦士であり、賢女である。独立していながら共同体を大切にし、優しくも強い。アルテミスは、女性が持つ無限の可能性を体現しているのです。
ヨモギもまた、矛盾に満ちています。苦いが癒し、野生だが保護する、月経を促すが妊娠中は避ける。その銀の葉は、月光のように柔らかく見えて、実は強靭です。
アクタイオンは境界を越えて罰せられ、カリストは純潔を失って追放され、オリオンは愛されながら死にました。アルテミスの物語は優しくありません。しかし厳しさの中に、深い真実があります。
境界を尊重すること。 自分の選択に責任を持つこと。 愛することのリスクを理解すること。
満月の夜、ヨモギを手に取るとき、その銀色の葉に月光が反射します。数千年前、古代ギリシャの女性たちも、同じようにこの草を摘み、同じ月を見上げたことでしょう。
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