梅雨の季節、初夏に咲くアジサイは、その開花時期の長さと、咲き始めから咲き終わりまで少しずつ移り変わる美しい花色が魅力です!土壌の酸性度によって青色、紫色、ピンク色と変化するアジサイの花色は、まるで水彩画のような繊細なグラデーションを生み出します。その姿は、雨の多い時期にひときわ鮮やかに映え、日本の夏の風物詩として多くの人々に愛されています。アジサイの美しさに触れることで、雨の日も心が晴れやかになることでしょう。
アジサイとは
- 学名 Hydrangea
- 英名 Hydrangea
- 和名 アジサイ(紫陽花)、シチヘンゲ(七変化)
- 科・属名 アジサイ科(ユキノシタ科)・アジサイ属
- 原産地:日本・東アジア・北アメリカ
開花期:6~7月
花色:青、紫、ピンク、赤、白、緑
6/3・6/14・6/26の誕生花
アジサイは、樹高1~2mの落葉低木です。
額(がく)咲き、手まり咲き、三角錐状に咲くピラミッドアジサイなどがあり、花色も豊富で、世界的に人気の高い花木です。
アジサイの若枝の先端には、多くの小花が集まって咲きますが、花びらに見えるのは「装飾花(中性花)」で実はガク。花は、装飾花の中心にある小さな丸い点のような部分です。
額咲きのアジサイは装飾花に囲まれた中心部に両性花が咲きます。
葉の表面には光沢があり明るい緑色から濃い緑色まで様々です。秋になると、葉色は黄色や赤色に変化し秋から冬に落葉します。
アジサイの種類
ガクアジサイ(H. macrophylla f. normalis)
花序の周辺だけが装飾花で、額縁のように見える。アジサイの原種で、額縁のように装飾花がついていることから「ガクアジサイ」と呼ばれます。
アジサイ(手まり咲き)(H. macrophylla f. macrophylla)
花序全体が装飾花に変化したもので、より華やかな印象。最もポピュラーで、ほかのタイプのアジサイと区別するため、「ホンアジサイ」とも呼ばれます。
ヤマアジサイ
ガクアジサイよりも花序が小型で、装飾花が少なく、両性花が目立ち、葉は薄くて細長く、野生味があります。
ハイドランジア(西洋アジサイ)
日本のアジサイがヨーロッパやアメリカに持ち込まれ、品種改良されたもの。
- サマーナイト:ピンク色から紫色に変化する花が特徴
- ダンスホール:青色から紫色に変化する花が特徴
- マジックフラワー:花色が変化する品種
外国種アジサイ
北米産のアジサイ
- アナベル:大輪の花序が特徴的なアジサイ。花色は白色が基本だが、ピンク色や紫色に変化する品種もある
- カシワバアジサイ:葉がカシワの葉に似ていることから、カシワバアジサイと呼ばれる。花序は円錐形で、装飾花と両性花が混ざっている
アジサイの色
日本に青いアジサイが多い理由
アジサイの花色は、土壌のpH値に影響されます。
日本の土壌は、火山灰由来の酸性土壌が多く、アルミニウムイオンを豊富に含んでいます。
アジサイの花の色素であるアントシアニンは、土壌中のアルミニウムイオンと結合することで青色に発色します。
フランスのアジサイはピンク色?
ヨーロッパなどのアルカリ性の土壌でよくみられるのが、鮮やかなピンクのアジサイ。
フランスは石灰岩に覆われていることから、アルカリ性の土壌が多く、アルカリ性土壌では、アルミニウムイオンが溶け出しにくいため、アジサイの花の色素であるアントシアニンは、アルミニウムイオンと結合せずに赤色に発色します。
そんなアジサイの特徴から、青色アジサイを育てるときは弱酸性の土にすると色がきれいに出るので、酸性の土を使い、赤色アジサイは、苦土石灰を施し土壌を中性から弱アルカリ性にするとよく発色します。青花用・赤花用などのアジサイ専用培養土を使うこともできます。
アジサイの花ことば
アジサイの色別の花言葉
青、青紫のアジサイの花言葉
日本の土壌は弱酸性であることが多く、青や青紫のアジサイをよく目にします。
そんな青や青紫のアジサイの花言葉は「冷淡」「無情」「辛抱強い愛情」です。
雨に耐えて咲く姿からとも、江戸時代に出島に滞在していたドイツ人医師・植物学者フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトと、彼が出会った日本人女性楠本滝さん(おたきさん)の悲しい恋物語が由来ともいわれています。
シーボルトは、1828年に長崎の出島に医師として来日しました。そこで、おたきさんと呼ばれる美しい女性と出会います。
シーボルトは、日本滞在中に様々な植物を研究し、ヨーロッパに紹介しました。
その中でも、彼はアジサイを特に愛し、その学名を「Hydrangea otaksa」と名付けました。
これは、おたきさんの愛称「オタクサ」にちなんで名付けられたものです。
しかし、当時の日本は鎖国政策下にあり、シーボルトは禁制の日本地図を国外持ち出ししようとしたという疑いをかけられ、出島を去ることになってしまいました。
これが、青や青紫のアジサイの花言葉の由来とされています。
白色のアジサイの花言葉
アントシアニンを含まない真っ白なアジサイは、土壌の影響を受けず白く咲きます。白色のアジサイの花言葉は「寛容」「一途な愛情」です。
環境の影響を受けず真っ白に咲く姿や、白という色の持つ包容力から生まれた白アジサイにぴったりの花言葉です。
ピンク、赤のアジサイの花言葉
「元気な女性」「強い愛情」
占星術では、ピンクのアジサイの花は蟹座の星座に関連しているといわれています。蟹座は母性や感情的といった特性があり、ピンクのアジサイの花言葉とつながりを感じます。
すべての色のアジサイに共通する花言葉
「移り気」「浮気」「変節」「家族」「団欒」
江戸時代、アジサイは「七変化」と呼ばれ、その移ろいやすい様子から「浮気」や「変節」という花言葉が生まれました。
花色は開花から日が経つごとに少しずつ変化します。
最初は花に含まれる葉緑素によって薄い黄緑色を帯び、そこからアジサイに含まれるアントシアニンと土壌のアルミニウムイオン濃度の影響を受け、赤や青に色づいていきます。
さらに日が経つと、青色の花も赤味を帯びるようになります。これは花の老化によるものであり、土壌の変化とは関係ありません。
このように移ろいゆく花色から、「浮気」や「変節」といった花言葉が残っています。
また、アジサイは小さな花が集まって咲いているようにみえることから、「家族」「団欒」という花言葉もあります。
アジサイの名前の由来も「藍が集まって咲く」という意味の「集真藍(あづさあい)」が転じたものと考えられています。
アジサイのおまじない
風水では、紫陽花は水を象徴する植物であり、水を司る方位である「北」に飾ることで運気が上がるとされているそうです。また、水をたっぷり吸収するアジサイはストレスや嫌な思い出などを吸い取ってくれるパワーがあるんだとか!
そんなアジサイを使った、6月に行う「おまじない」をご紹介します。
6月の6のつく日(6日・16日・26日)に一輪のアジサイと家族の名前と生年月日を書いた半紙と紅白の水引を用意します。
花屋さんで購入しておまじないに使う場合は、前日に購入し、日が沈んだら外で夜露に晒して浄化された水の気を吸わせましょう。6が付く日の朝日が昇る前に家の中に入れてください。
そして、6が付く日にアジサイを半紙に包み、紅白の水引で結わえトイレの壁に逆さまに吊るす、という方法です。
これは健康運アップの効果があり、特に女性特有の病気にならないというおまじないです。
1年間の効力があり、また次の年の6月の6のつく日に新たに行いましょう!
また、金運をアップさせたいなら、水引を金色にし、夏至の日に玄関に吊るしてください。
1年経ってドライフラワーになったアジサイは、「ありがとうございました」と感謝の気持ちで、海や川へ流すとよいそうです。私は毎年、庭のガクアジサイでおまじないをした後、自然塩をふりかけ白い紙に包んで処分しています。
まとめ
アジサイは、花が咲いた後の時間経過によっても色が変化し、青色から紫色、ピンク色へと移ろいゆく様子は、まさに「七変化」と呼ばれるにふさわしい美しさです。
種類や花色も豊富で、穏やかで清らかに咲くアジサイは、雨の多い日本の夏を過ごしやすくしてくれます。