チューベローズは、エキゾチックな甘いフローラル系の香りで、香水の香りとしても人気があります。その香りは月明かりの下では特に深まり、官能的な印象がありますが、夏に乳白色のヒヤシンスに似た花を咲かせ、涼しげな外観も魅力的です。
チューベローズとは
学名: Polianthes tuberosa
英名:tuberose
和名:和蘭水仙(オランダズイセン)・月下香(ゲッカコウ)
科・属名:キジカクシ科(リュウゼツラン科) ゲッカコウ属
1/29・6/16の誕生花
チューベローズは、原産地はメキシコといわれています。名前はラテン語で「ふくらんだ、塊根状の」を意味し、球根の形が由来で「チューベローズ」はその英語読みです。晩春に発芽し、披針形の葉は、根生葉が数枚、茎を抱く葉が十枚前後あり草丈は1mくらいになります。
学名である「Polianthes」はギリシア語で「白い花」。8月頃に、白いヒヤシンスに似た花を咲かせます。ピンク色や黄色の花を咲かせる品種もあります。
チューベローズの特徴は香り。園芸種は八重咲きのものが多いですが、一重咲きの方が香り高く香水のトップノートに用いられます。
香水の原料として、ハワイや熱帯アジアなどで多く栽培されていますが 、ハワイでは葬式用の花とされていたほか、レイや宗教行事用に用いらます。
チューベローズの特徴
チューベローズの魅力は何と言っても香りの高さにあります。
南国で咲く花ということもあるのか、エキゾチックな印象を受けます。精油には催淫作用があり、フランスでは若い女性に対して夕方にチューベローズの花畑に近づかないよう警告する逸話があるほどです。
チューベローズは、ホワイトフローラル調、フロリエンタル調のフレグランスに使用されることが多く、イランイランやジャスミン、ミュゲなどと調和するといわれています。香水ではトップノートとして使用されることが多く、香水全体の雰囲気を決める重要な役割を果たしています。チューベローズの香りは、その甘さと官能的な魅力で、多くの人々を魅了し続けています。
マレーシアやインドでは、「夜の女王」「花の中で最も魅力的な香り」などと表現されていますが、ナチュラルな爽やかさや、肌を包み込むような優しさもあり、リラックス効果や鎮静効果が期待できます。
チューベローズは水はけ・日当たりのよさに気をつけることで比較的簡単に栽培できる花としてガーデナーにも人気があります。
チューベローズの種類
ピンクサファイヤ:八重のラベンダーピンク
センセイション :一重のピンク
スーパーゴールド:一重の黄色
パール:乳白色の八重咲き
チューベローズの花言葉
「危険な関係」「危険な快楽」「危険な喜び」「なまめかしさ」「冒険」
チューベローズの甘い香りから連想させる大人っぽい花言葉が並びます。
ヴィクトリア朝の貴婦人たちは、青白い肌を競い合い昼の日差しを避け、夜になると甘く優雅に香るチューベローズの花を愛したといわれています。
チューベローズの花が2輪ずつ並んで開花する様子からも、寄り添う男女を思わせ、官能的な花言葉がつけられた理由と考えられます。
チューベローズの効果
チューベローズ精油の働き
- 使用部位:花
- 抽出法:溶剤抽出法(アブソリュート)
- 主な成分:ネロール、オイゲノール、メチルベンゾアート、アントラニル酸メチル、ベンジルアルコール
- 作用:鎮静作用、抗うつ作用、催淫作用、消炎作用、去痰作用、保湿作用
精油の働きは次のものが認められています。
- リラックス効果によってストレスを軽減し、気分を明るくしてくれる
- 鎮静作用が神経系の昂りや炎症を抑えてくれる
- 血液循環を促す
- 体を温める
- 肌を保護し、保湿効果も高める
チューベローズ多糖体の働き
チューベローズの細胞を培養し得られる抽出物には、皮膚保護作用と保湿作用が認められています。
そのため、肌を乾燥から保護し、肌荒れなどの疾患から守るためにスキンケアコスメに配合されることがあります。
- 化粧品表示名:チューベロース多糖体
- 医薬部外品表示名:チューベロースポリサッカライド液
- INCI名:Polianthes Tuberosa Polysaccharide
参考文献:チューベロース多糖体の基本情報・配合目的・安全性 | 化粧品成分オンライン (cosmetic-ingredients.org)
まとめ
チューベローズは、エキゾチックで甘いフローラルな香りが特徴の花で、香水としても人気があります。夏には乳白色の花を咲かせ、その見た目も魅力的です。精油には鎮静作用や抗うつ作用があり香水やスキンケア製品に使用されます。花言葉は「危険な関係」や「なまめかしさ」など、大人っぽい魅力が詰まっています。